アレルギー外来

アレルギー外来(金曜日14:00~16:30)では、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎などに代表されるアレルギーに関与する病気の診断と治療を、診療指針(ガイドライン)に基づいて行います。
院長の一般外来と連携して、また診断や治療が困難な場合は東京医科大学病院と連携して診療を行わせていただきます。
担当医は東京医科大学病院のアレルギー外来担当医(日本アレルギー学会専門医)です。

食物アレルギー

食物アレルギーとは、食べたり、触れたり、吸い込んだりした食べ物に対して体が過敏に反応して、かゆみや湿疹、咳や鼻水、おう吐などの症状を認める病気です。乳幼児の10人に1人、3歳頃にも20人に1人にみられます。乳児期の三大原因は鶏卵、牛乳、小麦で、1歳を過ぎるとピーナッツ、果物、魚卵、甲殻類などが続きます。

食物アレルギーの対応で大切なのは、きちんとした診断を行うこと、原因と診断された食べ物を除去した場合、その食べ物の栄養素を他の食べ物で補うことです。例えば、たんぱく質を豊富に含む鶏卵のアレルギーと診断されたら、肉や魚、大豆でたんぱく質を補うようにします。鶏卵、牛乳、小麦、大豆などのアレルギーは、3歳までに50%、6歳までには80~90%が食べられるようになるので、その間栄養不足にならないように管理することが大切です。

お子さまの年齢、家庭環境によって最良となる治療は異なるので、お話を聞きながら一人一人の患者さんにあった食事指導・治療をおこないます。また、多数の食材に関して食事制限がある場合には、栄養面も考慮して東京医科大学病院 栄養科での栄養指導を受診していただけます。すでに食物アレルギーと診断され特定の食材の除去が必要となっているお子さまの保護者の方で、栄養や料理法に不安がある方も是非ご相談ください。

血液検査

ある食べ物を食べて症状が出た場合、診断に血液検査を行うことが一般的です。血液検査が陽性であれば、食物アレルギーの診断となります。ただし、血液検査は食べ物に対する血液の反応を見ているものなので、血液検査が陽性でも実際に食べて症状がでない場合もあります。離乳食で食べ始める前に血液検査を行って、陽性だった食べ物を単純に除去するということは避けたほうが良いでしょう。

食物経口負荷試験

症状や血液検査の結果から、ある食べ物の食物アレルギーであると診断された場合でも、単純にその食べ物を除去するのではなく必要最小限に除去することが推奨されています。安全を優先するために必要以上の除去が行われていた場合も少なくありません。

アレルギーと診断された食べ物、または疑われる食べ物を少量ずつ食べて、どの程度で症状がでるか、どの程度食べられるかを確認する検査を食物経口負荷試験といいます。一般的には、医療機関で医師立ち合いのもとに食べたあと、自宅での摂取を続けていき、少量ずつ量を増やしていきます。

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎は、かゆみを伴う湿疹が悪化と改善を繰り返しながら長期に続く状態です。原因は、皮膚が炎症を生じやすいアトピー素因をもっていることと、皮膚のバリア機能が低下していることです。

乳幼児の10人に1~2人にアトピー性皮膚炎がみられると報告されていますが、この時期にきちんとした管理を行えば、ほとんどの場合で将来的には治療がいらなくなるか、スキンケアのみで対応できることがわかっています。

乳児期を過ぎてもアトピー性皮膚炎の改善が認められない場合は、その原因を見つけることが大切になってきます。原因は食べ物、ホコリ(ダニ)、ペット(動物の毛)、ストレス、疲れ、汗など多岐にわたります。食物アレルギーがアトピー性皮膚炎の原因となっていることもあり、適切な食材除去でアトピー性皮膚炎が良くなることも少なくありません。

保湿剤

皮膚を清潔に保ち、保湿剤を適切に使用することで、皮膚のバリア機能を改善しアトピー性皮膚炎の発症を30~50%減少できることがわかっています。当院では、生後早期より保湿剤を全身に塗ることをお勧めし、まずはアトピー性皮膚炎にならないように指導をしています。

ステロイド外用薬

保湿剤を使用しても湿疹が改善しないときやアトピー性皮膚炎と診断された場合は、ステロイド外用剤を使用します。ステロイド外用剤の使用に関して不安に思われる保護者の方もいらっしゃいますが、現在ではステロイドの入ってないかゆみ止めの外用剤(非ステロイド)より、ステロイド外用剤の方が効果的でむしろ副作用も少ないことがわかっています。

ステロイド外用剤を使っても皮膚症状が良くならないと外来を受診される方がよくいらっしゃいます。そのような場合には原因を見つけて改善し、スキンケア、ステロイド外用剤の塗り方、塗る量を見直すと良くなる場合がほとんどです。アレルギー外来ではスキンケアの仕方、ステロイドの塗る量、範囲などについて時間をかけて説明させていただきます。

また、東京医科大学病院では薬剤師によるスキンケア、ステロイド外用剤の使い方指導も行っており、重症のアトピー性皮膚炎のお子さまでは1週間位の入院治療も行っています。ご本人に良い皮膚状態を経験してもらうことで、外用剤を自身で適切に塗るようになり、アトピー性皮膚炎の治療が上手に進むケースも少なくありません。

タクロリムス軟膏

ステロイド外用剤の使用が長期になって手放せない場合にはタクロリムス軟膏(プロトピック軟膏)の使用もお勧めしています。タクロリムス軟膏はアレルギーの免疫反応を抑える抗炎症作用により、湿疹の赤みやかゆみを抑えます。タクロリムス軟膏の炎症を抑える効果はステロイドよりも弱いのですが、正常な皮膚からは吸収されないというメリットがあり、漫然とステロイドを長期に使うよりも安定するケースがあります。特に顔の湿疹に対しては大きな効果が期待できます。
アトピー性皮膚炎が治らない、タクロリムス軟膏を処方されているが使い方が分からないなど、アトピー皮膚炎で悩んでいる保護者の方はご相談下さい。

気管支喘息

気管支喘息は空気の通り道(気道)が腫れて狭くなってしまい、「ヒューヒュー」「ゼイゼイ」などの喘鳴を“繰り返す”病気です。

喘息の多くはアレルギーと関連しているため、本人にアトピー性皮膚炎や食物アレルギーがある場合や、ご両親や兄弟に喘息を含めたアレルギー疾患を認めることがほとんどです。喘息は2歳までに約6割、6歳までに8~9割が発症し、男児に多くみられます。
ただし、3歳以下の乳幼児は、もともと気管が柔らかく、細いので喘息以外、特に風邪を引いたときに喘鳴を生じることがありますが、このような状態を喘息性気管支炎と呼び、気管支喘息とは異なります。

喘息の治療は発作時の治療と、日常の予防治療(長期管理)に大きく分けられますが、特に大切なのは日常の予防治療です。喘息では、気管支に慢性的な炎症が起こっていることがわかっていますが、悪化因子などの刺激により気管支の壁が腫れ、狭くなってしまい発作が起こります。この炎症が長く続くと気管支自体が硬くなって治療が難しくなる「リモデリング」という状態に陥ってしまいます。刺激となる悪化因子には、ダニ、ペット(動物の毛)、タバコの煙、大気汚染物質、天候や季節、風邪などの感染症などがあります。

子どもの喘息はきちんと管理すれば、ほとんどが大人の喘息に持ち越すことはないので、「リモデリング」を引き起こさないように日常の予防治療を続けることが大切です。

喘息治療の目標は、発作のない状態を続けること、スポーツや日常生活が普通にできること、学童期以降では呼吸機能などの検査も正常であることです。自宅で喘息日記をつけること、小学校入学前後の年齢からはピークフローメーター(呼吸機能検査機器)も併用するなどして、毎日の状態を記録することをお勧めしています。

気管支喘息の診断

気管支喘息

診断には、症状の特徴や経過、家族のアレルギー歴が重要です。血液検査や学童では呼吸機能検査(スパイロメトリー)を行うこともあります。血液検査で悪化因子がわかれば、発作予防にも役立ちます。

薬物療法

日常の予防治療(長期管理)としては、内服薬のロイコトリエン拮抗薬と吸入ステロイド薬があります。ロイコトリエン拮抗薬は気管の炎症を抑える作用があり、内服という使用しやすいことが利点で、比較的軽症であればこの内服薬だけで管理できることもあります。

吸入ステロイド薬は気管支に直接作用し炎症を鎮めてくれる効果的な治療です。年齢によりいくつかの種類があり、日常の予防治療の主役ともいえる薬です。ただし、年単位で長期に使用すると身長に影響が出ることがわかっているため、薬の効果と副作用を考えながら、喘息のレベルにあった管理を行っていく必要があります。

発作時の治療には、気管支拡張作用のあるβ2刺激薬の吸入やステロイドの吸入・内服を行いますが、まずは発作が生じないように日常の予防治療をしっかり続けることが大切です。

アレルギー性鼻炎・花粉症

アレルギー性鼻炎には、スギやヒノキなどの花粉が原因となり毎年同じ季節に症状がでる季節型(いわゆる花粉症)と、ダニ、ハウスダストが原因で一年中症状の続く慢性型があります。鼻水、鼻づまり、くしゃみが主な症状ですが、花粉症では目のかゆみを伴います。

季節型の場合には毎年同じ時期に症状がでるため、ご自身で自覚されることがほとんどですが、慢性型の場合には症状に慣れてしまい気づかないことも多く、匂いに鈍感だと思っていたら実は慢性型のアレルギー性鼻炎だったというケースも経験します。普段から鼻がつまっている、匂いが感じづらいなどの症状がありましたらご相談ください。

薬物療法

アレルギー性鼻炎の治療薬には、内服薬と鼻に直接投与する噴霧(点鼻)薬があります。内服薬には抗アレルギー薬(抗ヒスタミン薬)やロイコトリエン拮抗薬が使用され、噴霧薬には抗アレルギー薬とステロイド薬があり、鼻の炎症を抑える働きがあります。症状や重症度により、これらの薬を組み合わせて治療を行うことがあります。

舌下免疫療法(アレルゲン免疫療法)

スギ花粉症とダニアレルギー性鼻炎の治療法に、舌下免疫療法があります。これはアレルギー性鼻炎の原因となるアレルゲン(スギ、ダニ)を、毎日舌の下に投与することで体を慣れさせる(免疫をつける)治療です。

長期に治療を行うことで、症状を治す、または症状を和らげる効果が期待できます。多くの場合、治療開始後3~6ヶ月で何らかの症状の改善が認められます。しかし、治療を止めてしまうと徐々に元に戻ってしまうため、長期の効果を期待するためには最低3年間程度の治療が必要となります。

途中で治療をやめたとしても何ら不利益を生じることはありませんので、治療に興味がある方は是非ご相談ください。当院では通常の治療導入法以外にも様々な方法を用意しております。他の病院で舌下療法を始めようとしたが症状が出てしまって治療を断念した方も是非ご相談ください。

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